青東風 有象無象のペンラの1つ

二次元アイドルから三次元アイドルを逆輸入したオタクのブログ

浅田家! 感想

2020年10月2日

舞台挨拶付きの映画「浅田家!」、ライブビューイングにて視聴させていただきました。


映画「浅田家!」予告【2020年10月2日(金)公開】

 

映画のお知らせがあってからずっと楽しみにしていました。あたたかく、笑えて、哀しいけれど降り積もる優しさにふと気づく、そんな映画でした。

以下本編、2回分舞台挨拶、小説原作、パンフレット、各種雑誌インタビューを含む、二宮担の雑多感想です。個人の記録用でもあるので、読み物向けではないです笑

 

 

―――――――――――――

 

 

今回はかなり雑誌を読んでいたので(原作は見終わってから読みましたが)

あの浅田さん(ご本人の近影もだいぶ見ていたので)のイメージが結構頭にある中で映画を見てしまって、フィクションとノンフィクションの感じが自分の中でうまいことまとまらず(この部分は実話なのか…みたいに考えてしまった)、最初は単純に物語として楽しんだ方が良かったなあと思ってしまいました……。

 

よくよく見なくても二宮さんと浅田さんは外見は似てないのですが、

なぜか映画が始まった瞬間、二宮さんは完全に"浅田政志"でした。自然と溶け込み、話に引き込まれていく。

各種インタビューで『(悪い意味ではなく)目立つキャラクターがいない』と言っていましたが、本当にその通りでした。もちろん政志が主人公なのだけど、描かれているのは絆だったり想いだったり繋がりだったり。だからこそ、どのキャラクターともグッとくるシーンがあって、政志が色んな人の支えや関わりの中で生きていく様子が偽りなく映る。

 

最初の40歳のシーンは、現在も章さんがご存命であることを知っていたので、悲しいシーンではないことは想像できました……笑

 

予告では政志の独白が入っていたのですが、最初の辺はお兄さんのナレーションでしたね。これがまたすごくよかったです。妻夫木お兄ちゃん、ご自身は弟さんということでしたが、面倒がりながらも協力してくれる、そんなお兄ちゃんっぽさがとてもよく出ていました。

2回目で気づいたんですが、最初シフォンケーキを作るお父さんに声をかけていたのは若菜ちゃんだったんですね。

 

私は平田さんすごく好きだったので、平田さんが専業主夫のお父さん……と最初にキャスティングを聞いたとき、正解じゃん……と思ってました。

まさにその通り、優しい優しいお父さん、あのちょっと間延びした感じのふわ~っとした感じがたまらなかったです。

3人がいきなり血だらけになってびっくりしましたが、風吹さんのお母さんが叱った後に笑う感じで、ああ、良い家族なんだなあと思えました。

しかしよくよく考えるとすでにこれだけで十分愉快な家族ですよね……。

 

あと、若菜ちゃん、すごく好きな人物でした。凛としていて、でもずっと政志のことを信じてくれて。というか幼馴染とそのまま結婚するのっておとぎ話かと思ってました……すごいですよね……そこなのか?

勝手なイメージ、予告では浅田父母兄弟が中心の話なのかなあと思っていたので、東京編の時結構若菜ちゃんとのシーンが多くて、思いがけずキュンとなりました。でもよくよく考えたら最終的に若菜ちゃんも”浅田家”に入るので、やっぱり家族の話なんですよね。

 

 

毎年お父さんが子どもの写真を撮って年賀状にしてるの、我が家も一緒で色々思い出しながら見てました。

うちは実家を出るタイミングではなく姉が嫌がりだして撮らなくなった記憶がありますが。

 

 

そして政志は大阪の学校へ。

だ、大学生のにのみやさん……!!!

去年とかの雑誌で、パーカーにリュック背負ってるお写真が大学生過ぎて思わず姉に30代男性ですよ?!と送り付けたことがよぎる……。

ご本人は同じ人が別の年代をすべて演じることに反対だと仰ってましたが*1、髪染めてるあの感じ、若かりし頃を彷彿とさせられましたね……刺青、嵐さんのメンバーのお名前にちなんだものもある?みたいなことがパンフか何かで書かれてましたが、私は見つけられず……。

何かの写真で浅田さんご本人にも同じ刺青があったのを確認し(そりゃそうだ)、本当にいれたんだ……となんか妙に驚いてしまいました。

 

浅田さんご本人のインタビューではたしか最初はアートっぽい写真を撮りたかったとお話されていましたが、そんなとき出された課題が「あと1枚しかシャッターを切れないなら、何を撮るか?」というもの。

そこで「家族だ!」となるのが、まあ話自体であったり政志の全てなんですが、やっぱり愛ですよね。

帰ってきたカラフルな息子に対して、まあまああたたかく(?)迎えてくれる家族もいいなあと思いました。皿うどんを食べるシーン。

 

中野監督は家族を描くとき食事のシーンを大事にしているとお見掛けしましたが、浅田家視聴前に見させていただいた『湯を沸かすほどの熱い愛』でも、たしかに食事シーンありましたね。誕生日のシーンも。

いわゆる、同じ釜の飯という。

もしかしたら、今は家族みんなが食卓を囲むことはそうそうないって家庭が多いのかもしれない。うちの家は父がいつも遅くて、父親抜きで先に食べていた記憶があります。でもどうしてか、懐かしさを覚えました。

 

そして病院での写真。あ、これが最初なのかと、驚きました。消防士の写真が最初かと思っていて。(厳密には病院での写真は課題だったので、写真集の方では消防士が最初ですが)

 

しかし卒業して、政志はパチスロ時代に突入。このやぼったい感じ……!

風吹さんはひげで長髪で黙っていれば色気がある、みたいにおっしゃってましたが、たしかにセクシーでしたね……はい。七変化見られてファンとしては眼福でした。やっぱり一番は東京編後半~岩手編あたりでしたが。

15万振り込んでるのは普通にすごくてビビりました。外車も買ってたんでしたっけ? 小説では「最後の1枚を撮ってしまったから、撮りたいものがなくなった」という風に書かれてましたよね。また一見自由気ままそうに見える政志が、お母さんには苦しんでいるように見える、とも。

若菜ちゃん、小説では過去に付き合っては別れるを政志と繰り返し…となっていて、なんか色んなことがあるたびに「浅田くんなんて大っ嫌い!」と言ってたんだろうな……というのが目に浮かびました。東京行っても職場から遠くても広い部屋を引っ越せなかった若菜ちゃん、それでも待ってたんね……。

 

お兄さんに気を遣われるも、結局面接に行かなかった政志。

(たこやきのシーン、3人がお父さんをそっと見るのがなんか面白かったです。はふはふかわいかった)

堤防のシーンは、二宮さんが度々仰っていた「中野監督は撮りたい絵がはっきりある」、が、まさに見えたシーンでした。

小説ではかつて兄弟で堤防から船を見ていた話があり、その兄弟で見ていたものの差も面白かったです。

本気出してないから釣れない、ダブルミーニングっぽくて、ね。

あそこは景色もすごく綺麗で、好きなところです。親に将来のこと話すのって、なんかもぞっとしませんでしたか?私はめちゃくちゃ苦手でした。自分のやりたいこととか……。

お父さんが「お母ちゃんも幸宏も心配してる」と言う役割なのが、本当に浅田家”らしい”感じでしたよね。「息子二人を立派に育てたことが誇りだ」という言葉に対する、政志の表情。あ~これだこれこれ、私はこの顔に弱い……。

小説読むと、感情が詳しく書いてあるので答え合わせみたいに読んじゃいます。二宮さんは台本読まずに耳だけで入れてああいう表情するから、ずるいというかもうなんか、本当に汲み取り力がすごいんですよね……。

 

そして父のなりたかった消防士になるために、いっきに動き出す。

予告でも見た「消防車借りてくれやんかな~」のお願い。幸宏お兄ちゃんによく効く、人懐っこい政志のおねがい。

監督やプロデューサーやスタッフさんが全員政志役にあげたのが二宮さんだった、ダメ人間だけど手を差し伸べたくなる、憎らしくないキャラクターとして成立する二宮和也の魅力。当て書きじゃないけど、どことなくこういう、お願いがうまそうなのは、政志と二宮さんの共通点な感じがしました。あの感じでいったい何人の先輩に奢らせてきたんだろうなこの人は……キュートなカツアゲおそるべし*2

それをまたドキドキしながら聞いているお父さんが愛しかったです。

 

 浅田さんが、「実際に兄が頭を下げたり母が衣装を用意したりしてる姿*3は見たことがなかった」という風に仰っていましたが、じゃあ撮ろう、で実行まできちんとできるのは、やっぱり協力あってのことだなあと。

お兄さんは営業やってたので頭下げるのに慣れてた、というのもなんだからしいなあ~と思ってしまいました。

街の人たちも優しいですよね。

 

字幕付き期間中に見に行きたいと思っていたのですが、小説だとタイマーを押す前の政志の掛け声は「押した!」と書かれてて、予告の時「おし、来た!」だと思ってたので押しただったのか?!と驚きました。どうなんだろう。

 

再現写真で印象的なのは、二つ。

ひとつは政志さん自身が映っていること。

なんとなく、写真家さんとか撮るのが好きな人って、自分が映るのは苦手なイメージがあったので。それでも政志が撮りたかったのは家族写真で、だから当たり前のように自分もいて、なんだったら自分が中心にいたり。

(意外とこういうところが、自分や莉子の父親の写真が少ない理由になかなか気付かなかった原因なのかなとぼんやり。)

そしてふたつめは、メイキングなどで二宮浅田家を撮る浅田さんが、すごく愉快そうだったこと。写真家さんにあまりお写真を撮っていただいたことがないので(それこそ学校の行事でいらしたな~くらいの記憶)、ああいう感じでお声かけて撮ってるのがなんだか印象的でした。でも、すごくらしいなと。家族を大事にし、家族写真を撮り続けてきた人だからこその空気感というか。

 

みんなの写真がたまっていって、これもって東京へ行こう、と。

お兄ちゃんとのあそこのシーン、事前の特番*4で「せいせいする」と出て行った兄に「兄ちゃん……」と台本では政志が呟く感じだったけど、二宮さんは言わなかったと(ご本人はあれ言ってなかったっけ?と驚いてて、またそれもらしいな~なんて思いました)。

素直に頑張れよと言えない。だって、迷惑かけられたのも本当で、ようやくかお前、と。でも頑張れよと応援もしてる。素直に言えない上の兄の感じがすご~~く良かったです。兄弟の関係性がすごく良かったと中野監督もおっしゃってて、私は姉妹なんですが、あの感じはなんとなくわかる。三つ違いとかの、微妙な距離感。

 

東京行くのを応援するお父さんの不器用な温かさもにこりとしちゃいました。お母さんが、「たまにはお父さんの手料理食べに帰って来なさい」と言うのもいいですよね。よくあるのはお袋の味~だけど、浅田家ならでは。

そして、木彫りのファイルのくだりがすごくすご~く好きなんです。お兄ちゃんお手製、たしかに浅田家の家族写真だけど、結局これがそのまま写真集の名前になるんですもんね。

「入れにく……」と言いながら新幹線の中で政志が移し替えるところ、浅田さん自身もお話されていて、本当だったんだと驚いたと同時に、こんな漫画みたいな優しさをもってるお兄さん、愛しさマシマシになりました。

 

 

4000字こえてようやく東京編。

たしかにツテが若菜ちゃんしかいないにしろ、文字面だけ見ると「女の家に上がり込む」ってものすごいアレでちょっとびっくりしました。文字面だけ見ると!ですが。

「いまノーブラ!」もかわいかったです。

「10倍返しにするから」、政志の口癖なんでしょうね……。

 

しかしなかなかうまくいかない政志。編集社で、浅田家の家の文字を拾うあたり、か、かなし~~……としゅんとなりました。

ボサボサの髪、一生懸命頑張っても目が出ない、もそもそとパンを食べる姿。

「アカンと思ったら追い出していい」という順子さんからの電話。このあたりの若菜ちゃんの心境は、小説版で詳しく書かれてて、改めてもう一回劇場に足を運びたいと思いました。

 

亀を這いつくばって撮るシーンだけ、二宮さんはどうやっていいのかと悩んだらしいですが、私も最初はこれは笑うシーンなのか悲しいシーンなのかわからくて困惑しました……。こんな時にそんな…みたいなアレかと思ってたら、純粋さを忘れてないことにほっこりするシーンだったんですね……。

仕事の手帳?に挟んだ、浅田くんが撮ってくれた写真をみて、改めて政志のことを信じ直し、ギャラリーを予約する若菜ちゃん。小説版では、準備のためにお兄さんも手伝ってくれたり、お兄さんの(この時点では未来の)お嫁さんを見て自分の立ち位置に虚しさのようなものを覚える若菜ちゃんの姿もありましたよね。

 

そしてこじんまりとした写真展で、姫野さん……姫野さん?あれ、と。

 

 

 

↑こちら、結構読みごたえがあって雑誌の中では一番良かった(個人的に、映画を見る上では)んですが、この中に赤々舎の姫野さんのお話も出ていたので、「あー?!」と驚きました。インタビューというか、浅田さんの質問に答えてくださってる感じだったんですが、その文章のまんまの人でした。

 

小さな出版社のようですが、先日出た関ジャニ∞安田さんの写真集を撮られた岡田さんも、こちらの会社で出された本で、木村伊兵衛写真賞とられてたようで驚きました(たしか岡田さんの方が浅田さんより一年前で受賞、年代も同じくらいでしたね)。

 

お酒が飲めないまま出版祝いのお酒を乾杯させられ、なんだかわからないまま流されていく政志。本屋さんで喜ぶ若菜ちゃん、本当によかったね……。2人でしゃぶしゃぶ食べてるのも、同じ釜の飯を食う、中野監督なりの(未来の)家族感が出ていたのかなと。一緒に祝ってちょっとの贅沢。

 

しかし売れ行きはよくなく、珍しく飲んで玄関にも入れずに倒れ込み、「ただの家族写真…」と愚痴をこぼす政志。あの、酔っぱらってふわんふわんで、寂しそうな感じがたまらなかったです……オタクとして……はい。

バシっと叩いて励ます若菜ちゃん、自分もいっぱいいっぱいだったんだと思います。

目が出なくて、本屋で破れた写真集を放っておけずに、でもそしたら賞をとったと、珍しくカレーを作ってくれてる政志に言われて。

振り向かずに「ふ~ん」と返すのが、なんだかもう、胸がいっぱいになりました。その晩泣いて笑いながら写真を見て、自分の信じたもの、好きなものを確かめる姿、そしてそれをこっそり見る政志の表情。ここ、たまらなかったです……。

 

お父さんのスピーチも、それをみて嬉しそうにしている政志の姿も、ああよかったな……と心から思いました。記者陣を差し置いて、ど真ん中にカメラを構える政志。いやお前が渡す側なんかい、と。いい写真でしたね……。

 

そしてあちこちで家族写真を撮りに行くように。このあたり、ビジュアルがよすぎてこんなアイドルみたいな写真家がおるんか…とぼんやり眺めてしまいました……。

人と話すときのやさしくてあたたかい目、子どもに笑う感じ、ひ、人たらし~~!

浅田さんは、色んな家族の写真を撮る中で「本当に自分が撮ったものが家族にとっていい写真になったのか」のようなことについて悩んだと仰ってましたが、それを決定づけた、というか、より深めたのが佐伯家のお話。

これ、上述のSWITCHのインタビューや記事で、先にお話や写真を見ていたんですよ。だから虹のTシャツを着て横並びに撮る姿まで想像を先にしてしまって。そしたらもう途中からボロンボロンでした笑

インタビューでは、「自分のような愉快な家族からの依頼が多いんだろうと思っていたから、すごく印象的だった」と話されていて。

小説版では、写真を撮った数週間後に息子さんは亡くなってしまったと電話があって。そして写真のチカラを疑うようになってしまう。(浅田さんインタビューでは、撮影のあともう一度会える機会があったが、とても「撮影できてよかったね」なんて言えなかった、あの写真の日から続く厳しい現実に目を向けられず、写真が撮れなくなった、ようなことを話されていましたね。)

 

また話が横道にそれてしまうんですが、お母さん役の篠原さん、たまたま先月くらいにドラマのコウノドリをイッキ見してたとき、お子さんが死んでしまった役だったもので、あの優しいけど少し寂しそうな、感じが、も~ダメでダメで……。

雨の中、途中で寝てしまう息子さんをゆらゆら揺らすお母さん。静かな、しとしと降り積もる幸せは、虹のように儚くて切なくて。

だからこそとても愛おしい。

小説ではシャッターを切る政志は「尊い」と表現していましたが、映画の涙は、すごく、色んなものが見えて、やっぱり印象的でした。予告の時はもっと終盤で出てくるシーンだと思ってましたよね、私もですよ。

ワンテイク目では涙をこらえたけどつらくて、次のテイクで涙ちょろりと流したなんて言ってましたが、その時はなんかこう、「政志はこういう気持ちだったんだろう」という細やかな分析の上でなく、政志そのものの追体験のように、きっと見て感じて涙が出たんだろうなと感じさせられました。感受性が豊かだとブッキーに言われてましたが、自他との境界性がはっきりしてるからこそ、役になりきるというか、憑依的な演技ができるのかなと思いました。まあようは色んな監督が二宮を泣かせたくなるのがわかるな……って話なんですが(そうなのか?)。

 

ばっと四人が並ぶところ、鳥肌がすごかったです。

何とも言えずに家族が虹を描くシーンに立ち会った政志。カメラをのぞくときの、葛藤。

そしてそのままぼんやりと宙に浮かんだまま、展示会場で震災の日を迎える。

 

高原家に向かう、左折して「目的地周辺です」の演出、ずるかったですね……。

様変わりした街並み、叫ぶような、悲しみが聞こえてきそうな掲示板のひとつひとつ。茫然とした中で、小野くんと出会う。

 

小野くんの菅田くん、二宮さんも言ってたんですが、すごく普通の大学生感があって、めちゃくちゃ馴染んでましたね……。後半は菅田くんのことばかり考えてしまって、ダバダバ泣いてました。パンフレットで小野さんのモデルとなった小田さんについて語られてみましたが、その人物像がそのまま映画にも表れていて、また泣きました。本当に、本当に強くて優しい方なんだなと。

 

孤独な作業の中、手を止めて目を見て洗浄を手伝うと言ってくれた政志は、小野くんにとって、本当に本当に救いだったと思います。次の日、白いボードを持ってきてくれた政志をすごく嬉しそうに見る様子だったりとか。「写真洗浄をはじめたらどんどん、どんどん写真が運ばれてくるようになって……」と話す姿は、余裕がない周りに投げ出すこともできず、いっぱいいっぱいの自分が引き受けざるをえなかった優しさや責任感の強さを感じ、だけどもそんな死にそうな顔をしていた小野くんが、政志や美智子さんと関わることで少しずつ表情が明るくなっていくのも、なんだか胸があったかくなりました。

 

「まだのやつだっているんだ」と怒鳴った渋川さんもいっぱいいっぱいで、でもその言葉を一番ダイレクトに受けていた小野くんの様子が、とても胸が痛かったです。自分だってこんなことしてていいのかと、どこかで思っていて。そんな中で友人が見つかり。

洗浄の場所に戻ってきた小野くんに、今日は何枚返せましたよ、と優しく政志が語る所、もうぼろっぼろでした。大丈夫?でも、今日は帰ったら、でもなく、必要以上に踏み込まず、自分たちのやっていたことの大切さを改めて共有する、優しい声色、涙で潤む、優しい瞳。こらえきれずに泣く小野くん……。プロデューサーも泣いてしまったと話されてましたよね。

 

そして洗浄場所は学校へ。莉子ちゃんに刺青を見せて、と言われてたけど、あの~~子どもが話しかけやすい雰囲気、ずるいですよね……。

内海家の話はフィクションだということでしたが、う~ん小学生ってこんなむちゃくちゃ(お父さんがいないのに家族写真を撮ってほしいと)言うか?ともやッとしながら見てしまいました……。まあでも私も小2で参列したお葬式で、火葬場に運ばれる曾祖母を見て「どこに行くの?」って親に聞いた覚えがあるので……。

 

私も家族写真を撮ってほしいと言われ(この言われた時の表情、大好きです……憂いをおびてるかどうかが必要だと監督か誰かがおっしゃってましたが、まさしく寂しさとか切なさとか、引き込まれる魅力がありますよね)、撮れやんよ、と言うことしかできなかった政志。東北に来る前から少しずつ自信を失いかけて、被災地にカメラを向ける他の写真家たちを余所に、自分は撮れず、どんどこメーターが削られていく……。

渋川さんの娘さんの、たったひとつの写真が小さい、小さい写真で。

色んな思いが交錯する中、政志は父親の誕生日のため、一度津に戻る。

(小説では、ここを離れたいと言った政志を止めなかったが、行ってほしくなかったと思っていた小野くんも描かれていて、とても辛かったです)

 

私はこの、帰ってきて、家族に迎えられた時の政志の表情がたまらな~~~~~~~く好きです。。。佐伯家を撮る表情に並ぶくらい好きなんです。

戦場のような場所から逃げてきて、ホッとするようでもあり、家族の温かさをかみしめるようでもあり。同時に、東北で見てきた家族を失った人を思い浮かべ、後悔や後ろめたさのようなものも感じられて、なんともいえない、色んな感情の混ざった複雑な、あの目がたまらんのですよ…………(クソデカ感情)。あと5億回見たい。

 

 

お父さんが倒れて、人の生と死に向き合いすぎ、写真家としても自身を失いかけていた政志が「もう浅田家は撮れないかも」とこぼすシーン。

お兄ちゃんが怒って、お母さんが止めて。そんな風に育てとらんよ!みたいに言ってた記憶がありますが、これもまた普通はお父さんが言いそうですよね。

 

そして若菜ちゃんの告白シーン。もうかわいさマックスでした。。。

居住まいを正して、「私も浅田家の写真に入れてほしい」と話す若菜ちゃん……。「結婚したら~その~200万は払わんでええの?」「ええに決まっとるやないの!」ウアーーーーーッなんだこのやりとり……国宝……。

距離がだんだん離れて、不安になっていく若菜ちゃん越しに、もじもじわたわた戸惑う政志が映ってるの、愛しさの権化か???と思いました。からの「200万払うなんて絶対嫌や!」いやや!いやや!いやや……私の頭の中で死ぬほどリピートされました。なんだあのかわいいプロポーズは……あそこだけ音声抽出してもらえんかな?方言も合わさってなんかもう、あ……天に召される……と思ってしま……。

 

そして年賀状の写真を振り返り、父親の写真がないね、と話すくだり。

ここで、私は内海家の写真をどうやって撮るのか(腕時計使うんだろうなとも…)の想像がついてしまって、もう感情がマックスでした(はやい)。

兄弟で神社の前で並んでぎゅっと抱き合うのもなんかかわいかったですね……ブッキー背高いので、並ぶと二宮さんのこじんまり感が増す……。

内海家の話がフィクションなので、実際岩手にとんぼ返りしたりお母様にはたかれたりはなかったよう?なのかな、わからないですが、「これが倒れた父親を置いて行く息子を送る母の痛みや」と送り出すの、つ、つよいな……と思いました。強い母。母は強し。

改札に行く前に兄に呼び止められ、見送られるところ。小説版では、お父さんが壊れていた政志のカメラを直してくれて、それを渡すという展開でした。最初にお父さんが政志にあげたカメラ。それで内海家を父親として撮ったとなると、また話の深さが変わってきますよね……。胸に思いがこみ上げる政志。もう一回劇場で見たい。

 

そして内海家の写真を撮る政志。「撮れるよ」この、優しい、あったかくて、深い声。あ~~~大好きです……。

どうやって撮るかまでは何となく想像ついてたんですが、映画のポスターの絵面と重なるとは思ってなかったので、お父さんと同じ腕時計、声が聞こえてカメラを構える……こ、こいつぁやられたぜ……と震えながら泣き散らかしました。いやまさかキービジュアル(?)と重なるとは思わなんだですよ。ずり~~~~~!!!!!!!!

これがクランクアップだったんですっけ。実際の浅田さんは被災地では撮れなかったということでしたが、家族写真のチカラを、私自身改めて感じさせられました。

 

そして人類が好きな自担の独白。すっと耳に入る、良い声ですよね(突然の自慢)。モノローグが入る主人公は、基本的に視聴者目線で普通の人というイメージがあって(そうではないと難しいので)、私は推しにはモノローグが入る側をやってほしいんですよね……なんというか、普通の人、似合ってるじゃんね……こういうの、こ~ゆ~話がこの人は似合ってるんですよ~~~~!をろくろを巻いてしまいました。ブラックペアンのようなキャラクター性が高いものも似合うんですが、彼は絶対普通の人っぽい方が似合う……個人の意見です。

 

ノローグ、好きなんですが最初は胸がいっぱいで右耳から左耳に流れてしまって、二回目でしっかり聞き直しました。

うろ覚えですが、過去を残すのは記憶で、記憶を確かにするのが記録で、写真。ただ写真は過去を振り返るだけではなく、今を生きるチカラにもなるのだ、と。

教師になった小野くんは、一瞬3年A組…と言ってしまってすみませんでした。

 

写真のチカラを改めて知り、再びカメラを構える政志、浅田さん。

これからも、良い表情で、楽しい家族写真を撮り続けてほしいです。

私も実家に帰って、家族に会いたくなりました。写真、撮られるの好きじゃなかったけど、父親がカメラを構えるのは、なんだか嫌いじゃなかったなあ。

家族全員で近年撮った記憶がないので、そのうち全員が揃った写真を、撮りたいなと思いました。

 

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ムビチケまだ使ってないんだよな



心温まる映画を、ありがとうございました!

 

 

下記追記

2020.10.15

舞台挨拶は当たらなかったので普通に焼き増ししてきました。

もう一度見てまた泣くという……マスクがぐちゃぐちゃだよ!

 

・最後のモノローグ、「失ったものを補えるのは記憶だけで、記憶を確かなものにできるのが写真」みたいな感じでしたね

・何度聞いても「若菜ちゃん」の言い方が少し丸っこくてかわいい……上京したての頃約束破ったら右手の人差し指切る、に対して「それは~~写真家として困るなあ~」→「……頑張ります」の感じ、後半の200万払うなんて絶対いやや!あたりと少し重なるんですよね……若菜ちゃんに対してはどうしても尻に敷かれるというか、あの感じ、たまらない

・おかあさんにひっぱたかれた後の表情がまた、何とも言えなくていい。口元をぎゅっと結び、喉の奥に色んなものが突っかかってる感じ。涙をこらえようとする、あの表情がたまらない

・まじでちゃんとカメラに注目してみたら、莉子ちゃんの家族撮る時だけNikonFE使っとるやんけ……それあれですよね? 原作だとお父ちゃんが直してくれて、お兄ちゃんが駅で渡してくれたとこ……

・監督がリアルな兄弟感がいい、とおっしゃってたけど、見れば見るほど兄弟感いいなあと思ってしまう。お父ちゃんの真似するとこ好きなんですけど、あの兄弟だけがわかる親の顔、みたいな、それを共有してる感じとかたまらなく兄弟(語彙力)

・そして政志の発する「父ちゃん」「母ちゃん」死ぬほどかわいい……かわいいというか、ほんと~~~~に息子なんですよね。親に対する時、政志はものすごく息子の顔、声色をしている。お兄ちゃんには弟の、若菜ちゃんには幼馴染の、小野くんには年上の優しいお兄さんの顔をしている。インタビューで「義理の姉がいる時といない時で浅田さんは少し立ち位置が(無自覚的に)変わる」みたいなことを言ってたけど、そういう関係性を見事に再現していたんだろうな……と感じた

 

劇場のあちこちでクスクスという笑い声が聞こえてニコニコしてしまった。某アニメ映画の関係で近場の映画館も金曜から全席開放になってしまうので、字幕付きは諦めるかもしれない……。やっぱり「おし来た!」じゃなくて「押した!」っぽいですね……。

 

あと、これは書き忘れた話、私は映画を見る前から「写真」という媒体について、撮る側を内包しているこの媒体が好きだ~!みたいなことを呟いてたんですよ。

 

まんま映画のラストのオチでしたよね笑

これで言うと何かの雑誌で「僕は相葉くんならいい写真が撮れると思いますよ」っておっしゃってましてにのあい……と頭を抱えました。

 

カイトのカップリング『僕らの日々』で、「心のピントをすぐそばに合わせて」と歌っていてまさに浅田家じゃないか……と思ってたんですが、浅田さんの人生的には『カイト』っぽいですよね。

 

あと撮影現場でカメラ撮ってたのは何かに使えれば~くらいでとか言ってたけど、クランクイン前から撮ってたみたいなことどこかに書いてなかったですか??? 普通に練習してるんじゃん、そういうとこズルすぎませんか……?

きっと煙に巻いて、見せようとしなかった、見せなかった努力なんて山のようにあるんだろうな……と思ってオタクは合掌した

 

二宮さんはたびたび「俺から見た嵐は四人」と言ってるけど、それってまさにレンズ越しという感覚な気がしました。思い浮かべる嵐の人たちの笑顔、それがもし正面ならば、あなたへの愛情の証ですよ。カメラ越しの、あなたがいるからこその嵐。

まだ2021年のカレンダーが買えずにいます。

*1:ZIP風間くんとのインタビュー

*2:スッキリで舞台挨拶の模様を紹介していた際、ブッキーがニノに奢らされたくだりを天の声こと山ちゃんがそう表現していた

*3:映画で覚えがなかったんですが、小説ではありましたね

*4:関東では放送されてないやつ