青東風 有象無象のペンラの1つ

二次元アイドルから三次元アイドルを逆輸入したオタクのブログ

『北斎漫画』感想まとめ

先日、横山さん主演の舞台『北斎漫画』を観劇してきました。
あまり舞台に馴染みがなく、かつ生で3次元の人を見る機会が少ない私にとって、ドキドキの体験でした。


感想の前に。
横山さんご本人が結構「予習してきてな!」ということを仰っていたので、
私は観劇前々日くらいに映画の方の『北斎漫画』をレンタルし、
当日の公演前にすみだ北斎美術館の方へ行って参りました。
前日には買ったまま放置してたよこさん表紙の雑誌をザザザーっと。
(あとは高校の知識とWikipediaで補完……)


以下、内容中心の感想です。もちろん役者さんについても触れていますが、基本考察です(いつもの)。
一部パンフレットの内容にも触れております。











映画の北斎漫画の方が、結構エロスを追求していたので(見たらびっくりした)
雑誌の方で演出の宮田さんが「そこまでそういう感じにならない」ということでしたので、
どういう感じになってるんだろう〜?とワクワクしながらみてました。
基本的には映画の内容からエロスを(結構)引いて、ちょっとした北斎の知識やコメディの要素を足したような感じでした。

映画を見終わったあとに感想をネットで調べていたら、
富嶽三十六景がばっさりだった」「史実と異なるところがある」「後半の晩年期が可笑しく見えてしまう」とまあまあなものが多かったので、どうだろう……と不安な思いもあったのですが、
舞台の晩年期は良かったと思います。
史実と異なる〜といううんぬんかんは、
本編で「てきとうなことばかり書き残されている」というような解説があったので、
フィクションかもしれないし、ノンフィクションかもしれない、
そんな「本当にそうなのかな?」って調べたくなるような余韻があって、私はこれで好きなんですがね。
ただ、やっぱり第2幕がいっきに晩年に飛んでしまって、
その間をもう少し知りたいな〜と思っていたので、ちょっと物足りなさもあったんですが……
あくまで過去のリメイクなのかしらと納得することにしました。


さてさて、はじまる前は「こんな近くでジャニーズ浴びたら死んでしまう……」と心拍数が急☆上☆Show!!だったんですが、
はじまってびっくりしました。
そこに居たのは、まぎれもなく葛飾北斎ーー鉄蔵だったからです。
初めの第一声が発せられて、最初「横山さん……あれ横山さん?(目こしこし)」みたいな気持ちになりました。
本当にね〜……凄いですね、役者さんの生の力って。
強い意志を持った、荒削りで、原石みたいな無骨な語り。
普段のアイドル姿や、クールな役からは想像つかないような荒々しさで、すごく惹かれました。

映画を見てしまったので、私の中でキャラクター像が結構あの大御所役者さんたちのイメージになっていたんですが、
横山さんの北斎さんが緒形さんと特に違ったなぁと感じたのは、晩年でした。
横山さんの北斎、めちゃめちゃキュートなんですよ……。
ボケ老人なんですけど、すご〜く愛おしさがある。
緒形さんの北斎は、どちらかというと身勝手で傲慢な芸術肌がそのまま年老いたって感じだったんですが、
横山北斎、愛らしさがね……。
なんというか、面倒見てあげたい感が、私はありました。
その愛しさっていうのは、全然浮いてるわけじゃないんですよ。
老いてるボケシーン、私は映画で見た時からあまり笑えなくて。
なんというか、「あんなだった人も、こうなっていくのか」みたいに思っちゃうんですよね。根っこの部分は変わってないんですけど、ちょっと素直になったりとか。
だから、佐七やお栄に「出てけ出てけぇ!」って言うシーンも、なんかきゅーんとなっちゃうんですよね。
昔よりも丸さが出たおかげで、意地っ張りや我慢しいところの本音が見えるようで。
そこがすごく愛しかったんですね。

それから宮田さんが、なぜ今この舞台をしようと思ったのか。
私は勝手ながら、この少子高齢社会だったからこそ、やる意味があったんじゃないのかなあ、と思うんですよ。
人生100歳時代に、どう生きるのか?という裏メッセージ。

北斎は、本当に死ぬまで、絵を描き続けました。
晩年になってからも、「どんなペースで描いたんだ?!」ってくらいに。
(だからこそ、お栄が描いた説があると思うんですが)
それも、今みたいに医療も発達してない、平均寿命のまだ短い江戸時代に。
執念ですよ。絵への。
今生きてる中で、こんなにも何かに没頭し、また描き続けた夢半ばで終わる人、いるでしょうか。
様々な生き方を提示した上で、どう生きるのかを問いかけるような作品だったように思いました。

お直になぜ北斎や中島が惹かれたか、私はイマイチピンと来てなかったんですが(お栄同様、女なので男心がわからないということで)
たしか本編やパンフレットなどで、少しそれが触れられていたように感じます。
中島がお直に惚れたのは、あの隠さない魔性な感じの部分だと思うんですが、
北斎が惹かれたのって、お直の生き方、存在そのものな感じがしました。
映画では北斎とお直の、ちょっと濡れ場手前シーンがありましたが(ありました……よね?!)まるまるカット、
ジャニーズだからということではなく、あそこをカットすることで逆に
北斎がお直のお色気だけに惚れたのではない、ということが強調されていたように感じます。

最初舞台のお直を見た時、あの魔性感というか、妖艶な感じが足りないなあと思ったんです。
映画の樋口さんがあまりにも妖しくて、ああいうイメージだったもので……ちょっと残念だな〜なんて思っていたんですが、
逆にさばさばした、佐藤さんのお直にすることで、よりお直の生き方を見せることができてたのかなあと。

お直の生き方と、北斎の生き方。
貧しい生まれだった北斎の、自分語りのシーン、あそこすごく良かったです。
パンフレットでも語られていた気がするんですが、横山北斎は、むちゃくちゃ人間らしいんですよね。
芸術肌の頑固じじいではあるんですが、マイナスの感情をしっかり(多分に笑)抱えていて、情けなくて、でも真っ直ぐで。
これはどこかえいとさんにも通じるなと勝手に思っていて、
「どちらかというと馬琴タイプ」「馬琴に憧れる」と北斎とは一見真反対な横山さんがこの葛飾北斎という役がハマったのは、そういう人間らしさがいい具合に合っていたからじゃないかな〜と思うんです。


お直さんの話が出たので、キャストさんの話をちょこちょこ。
渡辺さん、さすがでしたね……時代劇ピッタリ。
ずっしりとした重みがあって、そんな中島がお直に惹かれ、若い子のおもちゃにされる馬鹿らしい感じまで。
天界で喋ってるとこ、自由でいいなあ〜と思いました。アドリブ多そう笑
木村さんの佐七は、映画の西田さんよりも優しさ<計画的な感じがしました。
事細かに人生設計をしていた馬琴に合っていたと思います。
(個人的には映画の方が好きですが……笑)
そしてお栄ちゃん。お栄ちゃんは一番映画と舞台で違いが少なかったような気がしました。
父親譲りの奔放さをもちつつも女性として愛しい部分があって、映画から一番好きなキャラクターです。
あと年老いてからの演技、特に喋り方が堺さんはピカイチだったと思います。
そういえばパンフレットで、横山さんがお直よりお栄がいいって言っていて安心しました笑

晩年のお栄と佐七のシーン、「いじわるなんですよ私は」のところ。あそこ、なんか好きなんですよね。
佐七の「どうも偽善者みたいだ、私は」ってセリフもありましたが、この2人は北斎という欲求に真っ直ぐな人間が身近にいたからこそ、少し自分を素直に認めてあげられないとこがあったように思います。
ちなみに映画を見ていて一番うるっときたのは晩年の2人のシーンです。
若い頃の「いや仕事手伝ってってことかい!」っていう笑えるシーンがあったからこそ、より良いものに感じちゃいましたね……。

好きなシーンでいえば、北斎が晩年、佐七に「よく捕まえてくれた」って抱きしめるところと、お栄を探すところがやっぱり好きですね。
ここ、ちょっとチャーミングな横山北斎だからこそ、より愛しさがあったような気がしました。
あーだこーだ言い合っていたけど、北斎と佐七の関係、なかなか貴重だと思います。
すみだ北斎美術館に行った時に、「関連人物」に馬琴がいなくて驚きました。
もちろん居候していた話は書かれていたんですが、どこまでが史実なのか、また詳しく調べたいな〜と思いましたね。
あと、お栄の葛飾応為のことは映画で触れてなかったので、宮田さん演出は映画より一層家族面を強調されてたように感じました。
お直の件をきっかけに進んでる物語ではあったけれど、中心にあるのは絶えず成長し続ける北斎の姿、人生が大きなテーマなんですよね。


以下、雑多に。
和服横さんかっこいい……永遠に見てられる
30代の、キービジュ(?)の頃の髪セット最高じゃないですか?エクステ、君を愛す……
背が高い(歓喜)
横さんの悪い笑い方、なんか好きだな〜(結局なんでも好き)
本当に長セリフ多くて横ちょえらい〜、、、えらおよぉ……
雑誌かなんかで「千秋楽のとき、これで(セリフ)忘れられると思う」みたいに言ってた気がするんですが、それ相葉ちゃんあたりがコンサートの振りつけについてで同じこと言ってた気がする……
障子が幕代わりで、プロジェクションマッピング使った演出かっこよかったです
映画見てたので逆に笑うとこがどこなのかわからなかった笑、でも思ってた以上に笑い声が聞こえて良かったです!
とんとんとんとんとんがらしのリュック、かわいい
回想シーンが終わってお栄と佐七が喋り出すと、暗がりの中とんがらしリュックをぎゅっ…と抱えてこっそり袖に入る姿が愛しかった(どこ見てる?)
声張ると横さん印象かわるよな〜……晩年の枯れたような声、ほんまに声枯れたのかと思って心配しちゃう
もう千秋楽も近いのに、大声張っていてかっこいいなあ
カーテンコールおじいちゃん姿か?!と思ってたら50代くらいの装いで来てくれたのでかっこよくて泣く
あと真ん中の襖からどーーーんて出てきて、スターだった
肉声がかき消されるほどの拍手だったけど、ありがとうございましたって言っていて、も〜それみて手が真っ赤になるまで拍手したよね……
レンジャーで「最後の拍手のためにやってる」みたいに言っていた通り、すごくうるうるした目で客席を眺めていて、あ〜その瞳に映る景色はどんなだろう……全てがあなたの人生の糧になってほしい……とばかし願ったよね
2回目のカーテンコールで、最後障子が閉まる前に胸の高さで小さく両手を振ってくれて、一瞬だけアイドル横山裕に戻って泣いた

思えばこんなに近くで拝見できたの後にも先にもないんじゃないかってくらい(私にとっては)近かったんですが、
始まってしまえば結構内容に引き込まれて、あまり黄色い歓声的なのは込み上げてこなかったです。
が、
下手側(私が下手端っこ席だった)に来た時に「う、うわー、ーー!?!?」とならなくはなかったです(ややこしい日本語)笑
でも全体的に上手にいることの方が多かったですよね……
舞台は余計に、人間の質量があるのがわかりますよね……存在してる感がひしひし伝わりました



総まとめ
横山北斎、奔放さと豪快さと執念と、どうしようもなさとカッコ悪さと人間らしさが溢れていて、さいッこーにかっこよかったです!!!!!


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買ったもの、行ったところなど

こぼれ話
以前舞台の裏方をした時プレゼントボックスを用意してたので「そういうもの」と勝手に思い込んでたんですが、
プレゼントボックスなかった……いやちゃんと調べとけって話なんですけど……
着席してから忘れかけてたファンレターを思い出し、おずおずと係員さんに尋ねたら「どなた宛てですか?」「お手紙ならお預かり致しますよ」って言われて手描き便箋を手渡し……恥ずかしさMAXでした
何日も公演してるから、そういうの用意してないのかしら………えぇん恥ずかし……
深夜テンションで書いたのでほぼ読み返してないですが、まあ届いたなら良かったです

メンカラ黒だと葬式でもあったか?みたいな会場
喪服がゾロゾロ(言い方)

後ろの席の方が色々話してるの勝手に聞いてしまった……けど首がもげるほど頷くような話ばっかだった
(勝手にジャニーさんのご冥福を祈り出すファンに対し、情報元が怪しいのを鵜呑みするのってどうなのというお話、舞台やって後輩の面倒みて十五祭のリハやって生放送やってる横山さんすごすぎるという話など)
あと安田さんが来ていることにも気づかれてたみたいです(私は全然気づかなかった)



あと数日、頑張ってください!!!!


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