青東風 有象無象のペンラの1つ

二次元アイドルから三次元アイドルを逆輸入したオタクのブログ

マシーン日記 感想

先日、Bunkamura シアターコクーンにて公演中の『マシーン日記』を観劇してきました。

文字通り1年ぶり(以上)の現場。そしてここ最近の中では久々の土砂降り……さすが雨女。

まずはなにより、当選したこともですが、無事に行けてよかったです。

 

なかなかぶっとんでいて、大変疲れました(笑)

以下、内容、パンフレットのネタバレを大いに含みます。

内容解釈の際、大いに参考させていただいたのはこちら。

 

tokyo.whatsin.jp

 

 

まずは演出について。

あまり情報入れてなかったので、まず会場入ってセンターステージなことに驚きました。2階席(A席)だしオペラグラスいるかしらと思ったら全然必要なく、役者さんが出てきたとき思ったのは「でか?!」でした……現場久々すぎて縮尺狂ってた。

工場が舞台ということで、セットも歯車をモチーフにしていたり、鉄鋼?のような柱がズドーンと4つ立っていたり。電光掲示板の演出も良かったです。

センターステージ、目回らない?!と驚くぐらいぐるぐる回ってました。

プロジェクションマッピング的な演出も素敵でした。ワニがぐるぐる映し出されているところとか、注意して見るとすごく面白かったです、

 

なんででしょう、囲む感じの客席って、より引き込まれる感じがしましたね。

特に俯瞰して見ているという構図が、内容を加味してもこう、一緒に悪いことをしているような気分にさせられる。パンフレットなどでも話されていましたが、振り返ってみると「共犯者」という感覚だったのかなあと。

 

あとは後半のスモークの演出。晴れたあと、ライトが反射しているのが上から見ていてすごく幻想的だったんですよ……もうラストの、なかなかアレなシーンだったんですが。オーバー・ザ・レインボーと相まって、異空間というか、不思議な感じでした。

 

 

それから音楽。サカナクションはもともと好きでしたが、かっこよかったですね~!

すごい合ってました。重低音。セックスシーンなども、音楽の力ですごくおしゃれというか、見やすい(?)感じになっていたように思いました。ダンスのような。

機械のような感じも世界観にぐんと引き込んでくれました。

 

 

そして内容……ですが、正直まだ自分の中で落とし込めていないです(笑)。

分かる部分も多いけど、わからない余白も十二分にあり。

そもそもマシーン日記ってセックスマシーンからなのか、と思うと、そこがこの話の主軸だったのか???という気持ちにもなり、、、

まあそれは、もとはこの作品がケイコ役だった片桐はいりさんを主役にした舞台を、という話だったというのをパンフで読んで腑に落ちるのですが……

見終わった後は、胃もたれがすごかったです(笑)。胸が、、、、キャベジン……みたいな気持ちでした。人の憎悪とか、どうにもならないモヤモヤとか、あまりにも浴びすぎて、本当に気が狂いそうでした。

ザ・演劇というか、戯曲というか。あれ、どうやってドラマやったんだろうと思いました。生のあの感じじゃないと、あの空気感じゃないとすごく難しそう……。そう、あとは生の魅力を改めて感じましたよね。ドラマや映画とは全然違う。撮り終えたものを見ているのと、リアルタイムのものってこんなに違うんだと、このコロナ禍で改めて感じました。ドームに俺を連れて行け

 

先に書くと、私は4人で踊っているところが好きです。あの、踊り狂う、を体現したようなシーン、、、すごく印象に残っています。単純に踊ってる推しを久々に生で見れた嬉しさもなくはなかったのですが……!

 

 

まずはミチオから。

 

先に書きましたが、この話は元の主人公がケイコだった。となると、ミチオが狂っているようで一番マトモだったのがなんとなくわかる気がする。

閉じ込められたプレハブ小屋の中で、腐っていった感じ。

他の方が演じられているのを見たことがないのですが、横山さんのミチオは、色っぽさと大人になり切れない子ども・弟性が印象的でした。

好きなセリフは、「おれ、これだからさあ」と足の鎖を指すところ。

あの声色の、ぐちゃぐちゃにされた人生への諦念と、言い訳っぽい子どもっぽい感じが、耳を離れないんです。もともとちょっとほやっとした感じの(褒めてます!!!!!!!!!!!!)声というか発声なので、どこか無邪気にも聞こえる感じが、たまらなかったですね……。

 

パンフでカイン・コンプレックスの話が出ていましたが、アキトシへのミチオの感情、マイナスなものだけではなかったんですよね……狂った兄のせいで就職パーになって強姦した罰として鎖でつながれても、どんどん狂っていったとしても、自分がいじめられっ子だったことを知ってる人は怨んでいても、根本的に兄のことを憎んではいないように感じました。……いや、憎んでいないというか、甘んじてた、助かっていた部分があったのかな。でも別に、心底慕っていたわけでもなかった。

 

アキトシはミチオを閉じ込めること(自分が父にされたことと同じこと)で、劣等感をぬぐい支配欲を満たし優越感を得ていたのと同じように、狂っているアキトシの存在は、ミチオにとって少しばかりの安定材料(こいつよりはマシだ的な)だったのかなと。右足の鎖は、(というか、動くたびにかしゃんかしゃんと鳴るの、さすがにオタクの幻聴かと思った、金髪と色白あまって色気がすさまじかった)いじめられてた外から自分を守る、プレハブ小屋との大事な繋がりだったんだなと。

でもそれこそアキトシにとってミチオは、どうしようもない弟でしかなかったんだろうな~…そこに愛はあるんか…?なんだろう、欠陥品を愛する感じはあったのかな。

 

そんなミチオが大卒の女と結ばれて、アキトシの満たされない支配欲を埋める対象はサチコとなった。うまい具合にこう、歯車ががっしゃんがっしゃんと他の歯車を崩していく感じがね……。これぞもうやめて~ですな……。

 

流れでアキトシの話をすると、アキトシ、本当に双極性障害だったんか……感がなきにしも。ずんと落ち込んだ場面が出てこなかったのでそう思っただけかもしれないですが、パンフで真偽は分からないみたいに書いてあってそ、そうか……となりました。

大倉さんのアキトシ、すごくハマっていましたね。4人が4人、コミカル要素もありましたが、観客がわかりやすく笑える場面を作ってくれたいたのは大倉さんだった気がします。私結構下ネタでも笑ってしまって若干恥ずかしかったですが……。

 

兄指の話、パンフを読んでまじで6本だったんだ?となったんですが(ケイコの男性器といい、急にファンタジー(?)要素が出てくるので、置いて行かれそうになりました)、アキトシの狂気は人と違う指からだけで来ているのか?というと、う~ん……?という感じで。。。

死んだと思ったら生きてたところとか、普通にマジで狂気でした……。戯曲の方はセリフがかみ合っていないところが多かったような話もあり、その大きな要因この人でしたよね……。わからないというこわさってあるよなあと。

 

 

そしてミチオとサチコ。ここはずっとサチコがミチオに片思いという印象でした。片想いってくくっちゃうと語弊がありますが……素直な一般的な好きとかではなく、同族意識を持ったが故の、彼を認めたら自分を認められる、ような、複雑なそれですが。

2階席だと全然森川さんの顔が見れなかったんですよね。パンフやキービジュ見返して、こんな可愛い顔やったんに……という気持ちに(笑)

たぶん、ずっと前髪で目を見えないようにしていたんだと思います。あの、ねちっとした感じとか、話し方とか、見事にハマってましたね……。

正直女性のつんざく声が苦手なので、サチコが叫んでいるシーンはしんどかったです。頭痛くなった。他人を恨むことで自分を保ち、自分と似ている者を認めることで自己肯定感を保つ。

尊敬していたと記憶していた先生が、そうではなかったと、ミチオをとられて思い始める醜さ。工場婦人という立場を生かして上に立とうとする愚かさ。先生にしたことないことをしてと強請る、あの、女の黒い感情……。

和姦だって言ってくれたら、みたいなセリフがあったけど、もしかしてサチコにとって初めてがミチオだったのかな~と少し思うんですよね……そういうくだりあったっけ?

いじめられてた自分を女にしてくれた存在。セックスマシーン第2号……。

森川さんはパンフで悲劇のヒロインぶりたい子なんだとおっしゃっていましたが、まさにそんな感じでしたよね。でもいじめというバックグラウンドゆえのなんだろうな……と思うとなあ……なんとも言えないですよね。

レンジャーでヨコさんがオズの魔法使い見た方がいいとおっしゃってたので、観劇前に視聴しました。

サチコの歌うオーバー・ザ・レインボー、言葉にできないような気持ちになりましたね……。見終わった後、帰る電車の中で頭に残っていました。

結局なんでオズの魔法使いを絡めたのかは、分からず……。最後に3人がドロシーのお供の3人と重なるところが意味あるのかな?

ミチオ……木こりは脳みそ、

ケイコ……ブリキは心、

アキトシ……ライオンは勇気をもらいにオズの国の魔法使いの元を訪れる。

アキトシが勇気かはともかく、あとふたりはなるほどと思わなくもないですよね。

 

そしてケイコ。ケイコ、もとの主役ということもあって一番わけわからなかったです。

数字、割り切れるもの、機械が好きなケイコが一番わけわからなかったです……。

でも秋山さんはさすがでしたね……圧倒的。存在感がすごい。そしてぴしゃりと言った一言で笑いも生むという……。男らしさと色気の共存。あと声が良いですよね……。

やっぱり誰かに支配されたいとか、そういう感じだったのかな……?

でも後半急に血やら斧やら死体やら火やらが絡んできて、世界観のキーパーソンではありましたよね。片足折り込んでたヨコちゃん、脚痛めそう……。

ケイコ自身も、自分が分からなかったのかなあと今では思います。

マシーンのようにわかりやすくなりたくて、マシーンになったのかな。

 

4人が崖から転がり落ちるように狂気に飲みこまれ終わるラスト、え~ここで終わりなの?!、というよりは、ここで終わりか……(現実に戻ってこれた)みたいな感覚でした。

 

ざっとこんな感じですかね。

改めて金髪を生で拝めて良かったです。結構上半身見せるシーンも多かったので、おもちみたいに白くてすべすべでさすが26歳……と思いました。三角筋とかすごい白かった。ふとしたとき、あまりにも美しくて感情めちゃめちゃになりましたよね。黒いものを溜め込んだミチオの中身と外見のアンバランスさ、最高でした。

セックスシーンで体位を変えるとき、ちょっと女性を支えるようにしている感じがたまんなかったです……こうしてみると背大きい!!

カーテンコールとかぴょこぴょこしてるの可愛かったです。というか、みんなすっごい叫んでいて、よく1日2回公演とかできるよな?!と思いました。あれで歌番組もはさんでいた横山さん、よく声枯れなかったよね……ダバダバ(涙を流す音)

年明けコロナで本当に頑張ってる。やっぱり3人はいるでしょ横山さん……。健康第一で……。

 

正直世界観がぶっとびすぎていて「一番好きな舞台!」という感じではないんですが(笑)

謎の中毒性があり、もう一回浴びたいなという感じです。記憶に残るというか、忘れられないですしね……。

(京都公演当たっているのですが、まだ行くか悩んでいます……)

 

 

久々に生の演技モノの良さを体感できて良かったです!

残りの公演も無事に完走できますように。

 

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帰りは無事雨がやみました 虹は出なかったですね……オーバー・ザ・レインボー